レパトリエーション/レパトリ
英語ではrepatriation(レパトリエーション)で、そのまま日本語となりました。通称レパトリ。元々は移民の本国への送還や海外駐在員や戦闘員の本国への帰還という人間の海外から本国への送還、帰還を意味した言葉でした。それが転じてFXでは、海外資産の本国への回帰、送金を意味します。
季節的には決算期末である欧米では12月、日本では3月にこのレパトリエーションが起こります。前者は外貨高、後者は円高要因となりますので、注意が必要です。
また、リスクオフの際には、海外に投資している資金を引き上げようという動きが起きるので、先進国通貨高かつエマージング通貨安となります。先進国の金利上昇局面でも、資金の回帰が起こります。
2018年6月以降に起きた新興国通貨安と米ドル高は、まさにこの二つが合わさった現象と言えるでしょう。リーマンショック以降10年に渡って続いた世界的な超低金利時代は、終わりを告げようとしていました。FEDのみが金利を2%に引き上げたため(2018年6月)ドル高が進行しました。
ところが、2018年末のFEDのパウエル議長のハト派転向後は、米中貿易摩擦の影響を受けた輸出国ドイツの景況感が悪化したことやイタリアのマイナス成長予想などからECBのドラギ委員長も利上げを2019年内には延期を行わないと発言、オーストラリアやニュージーランドも利下げもありうるなどと方向転換、2019年第一四半期には資金は再び新興国へと還流しました。
しかし、新型コロナウイルスの出現で2020年3月にFEDが緊急利下げを行い各国が追随、世界的な金融緩和となると、行き場を失ったお金は新興国へと逆流しました。仮想通貨は10倍以上の値上がりしました。
2021年11月、FRB理事長に再任されたパウエル議長は、オミクロン変異株の出現の中にも関わらず、突如タカ派に転向しました。2022年には3回の利上げを市場は織り込んでいます。今後、BOEやECBも追随すると、後進国から先進国へのレパトリが進行するでしょう。南アフリカランドなどのエマージングマーケット通貨をロングしている方は要注意です!ただし、原油高となりそうなのでメキシコペソはどうなるかはわかりませんが。
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