BOE/イングランド銀行
Bank of England(バンク・オブ・イングランド)の略で、イギリスの中央銀行のことです。日本語ではイングランド銀行と呼ばれることもあるようです。
イングランドはイギリスのうちのロンドンなどがある中南部を指す言葉です。スコットランドやウェールズ、北アイルランドは含みません。
イギリス人は正確にはBritish(ブリティッシュ)であり、English(イングリッシュ)はイングランドに住む人のことです。ウイスキーで有名なスコットランド人はScottish(スコティッシュ)、ウェールズ人はWelsh(ウェルシュ)と呼ばれ、English(イングリッシュ)ではありません。彼等をEnglish(イングリッシュ)と呼ぶのはかつて占領されたという歴史的確執が未だに大きく、非常に嫌がられるので気をつけましょう。
2018年のサッカーのW杯でも出場していたのはイングランド代表であり、イギリス代表ではありません。各地域がそれぞれ代表チームを持っています。ラグビーなども然りです。2019年に日本で開催されたラグビーのワールドカップでも、日本とスコットランドが対戦したのが記憶にあたらしいのではないでしょうか?イギリス全体で出場する方が強いように思えるのですが、チームワークが悪くなるのでありえないというぐらいの対抗意識があるようです。
話を戻しますと、本来ならBank of Britiain(バンク・オブ・ブリテン)と呼ばれるべきなのですが、こうした歴史的対立の背景からイングランド銀行がイギリスの中央銀行となっており、通常のイギリス紙幣を発行しています。
しかし、スコットランドには商業銀行ではあるのですがスコットランド銀行が存在し、スコットランド独自の紙幣を発行しています。ただし、ロンドンなどスコットランド以外の地域では使えないこともあるのでご注意を!
イングランド銀行はシティに本拠を構え、イギリスの政策金利を決定し、かつては基軸通貨であったポンドを発行しています。政策金利は年に8回木曜日に開催されるMPC(Monetary Policy Committte、金融政策会議)で決定されます。MPCはBOE内部の5名と外部の4名の委員で構成されており、8回の政策金利発表日のうち4回は四半期インフレ報告が行われ、その結果によっては相場が大きく動くのでスーパー・サーズデーと呼ばれています。
筆者も経験しましたが、FX入門者や初心者がこのスーパー・サーズデーを知らずにポンドのトレードをしていると知らない間に相場が大きく動き思わぬ損失を被ることがありますので、要注意です。このスーパー・サーズデーは米ドル取引における米国雇用統計と同じぐらい重要だと覚えておいてください!日本時間では夏時間は夜8時、冬時間や9時となります。
ところで、ポンドは長く高金利通貨として君臨していましたが、リーマンショック後には政策金利は0.25%まで落ちました。しかし、カーニー総裁就任後にはブレグジットを乗り越え、QEを終了させ、2017年11月には0.5%、2018月9月には0.75%へと2度の利上げを実施しました。
しかし、ブレグジットの離脱交渉の影響による景気停滞懸念とインフレとの間にたち、運営まますます難しくなり、カーニー総裁の重責はますます高まっていました。2019年には結局利下げも利上げも行われず、政策金利は0.75 %となり、ポンドは先進国では10月に利下げしたオーストラリアと並ぶ米国、ニュージーランドに続く高金利通貨となりました。
2020年3月にはBOEに1985年から在籍しており副総裁だったベイリー氏が昇格し新総裁となりました。2020年末までの欧州との離脱協定を延長しないという法案も可決され、BOEが2020年に利上げに動くのか利下げに動くのか誰も予想できない状況となっていました。
しかし、新型コロナウイルスの影響で2020年3月に0.1%に下げると、2021年9月現在まで政策金利は維持されています。11月の政策会合で利上げが予想されていたのですが、金利は据え置きとなり、その後ポンドは大きく下落しました。12月での利上げが予想されています。
この日の15時のヨーロッパ時間から実はポンドは崩れ始めました。イギリスは階級社会なのでイートンやラグビーで一緒だったお友達に情報が漏れることがよく起こります。利上げ予想であっても崩れていたら何か変だと感じ、相場感で行動することがポンド取引のコツです。
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