為替介入
英語ではforeign exchange intervention(フォーリン・エクスチェンジ・インターベンション)またはcurrency intervention(カレンシー・インターベンション)といいます。中央銀行が財務省の命令で公開市場において行う為替(FX)市場への介入を指します(ただしEUの場合は多くの国家の連合体なので財務省ではなくECBが権限を持ちます)。
日本の場合は、円安の際には円を買い円高の際には円を売るわけですが、基本的には円高阻止で動くことが多いので、円売り(通常は 米ドル買い)介入となります。ヘッジファンドなどによる為替レートの過度な動きを阻止するために実施されます。
1国で行われる場合を単独介入、複数の国が事前に打合せて行う場合を共同介入といいます。
日本は輸出国であり、為替レートが企業業績に大きく影響するため日銀(実際は財務省の指示を受けて)が動くことが多いわけですが、市場の意思に任せることを信条とするFRBやECBが為替介入をすることは、まずありません。
しかし、FRBの政策にさえ介入するトランプ前大統領のように過度の米ドル高を嫌う政府高官による口先介入は米国でも行われてきました。
円と同じ安全通貨で、通貨高になりやすいスイスフランを擁するスイスのみが、日本と似ているといえるかもしれません。2021年にも政府高官が口先介入を行っています。ルーターの記事にあるように、メクラー理事が11月にはあるレートなどや通貨などを特定はしないが、介入の準備があると発言しています。実際はパリティに近づいていてスイスフラン・ショック以来のスイスフラン高が続いているユーロ/スイスフランを意識しているのは明白です。
日本は、2011年を最後に直接的な介入は行なっていません。しかし、その後も蔵相や日銀総裁によるアナウンスによる間接的介入は未だに続けられており、ある程度の効果はもたらされています。工場の海外移転が進み円安でも貿易黒字が増えず、原油高などでの輸入物価の上昇など、円安効果が減少しており、状況が変化しており、円高介入が今後起きるのかはわかりませんね。
今井先生によると、為替介入は短期では効果がないですが、中期的にはじわじわと効果があるそうです。そうはいっても、長期的に実施・維持することは不可能です。そのことが証明されたのが2015年初頭に起きたスイスフランショックでした。
2021年後半は史上最安値を更新しているトルコが為替介入を実施しているそうですが、経済のセオリーに逆らった利上げではなく利下げをエルドリアン大統領の意向で実施している間は焼け石に水でした。
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