キャリートレード/キャリー取引
英語ではcarry trade(キャリートレード)です。日本語ではキャリー取引とも呼ばれます。その名前通り、運ぶ取引という意味です。
中でも2000年代に流行した取引で、低い金利(マイナスやゼロ)の円やスイスフランを借りて外貨に替え、その外貨でその国の株式や債券に投資するという手法です。円を用いたものは円キャリー取引といいます。
通常は投資先として、高金利で為替差損のリスクが少ない先進国通貨が対象となります。円の場合はオーストラリアやニュージーランドがミセスワタナベに選ばれました。金利差と為替差益、さらには債券や株式の利益を狙うことができます。しかし、その後のリーマンショックにより大きな損失が発生したため、下火となりました。
スイスフランの場合は東欧諸国で主に不動産投資に利用されましたが、スイスフラン・ショック以降は耳にしなくなりました。
政策金利を中央銀行が上げることが明確になり、ボラティリティーが小さい(つまり為替差損リスクが小さい)時がキャリートレードを始めるチャンスです。2018年7月当時はアメリカは金利が2%と先進国で最高となりました。対する日本はマイナス金利のままです。
また、
1.日本企業のアメリカを中心とした海外企業へのM&Aが続いている
2.貿易摩擦問題は輸入国であるアメリカに有利に働き、ドル高と人民元及びそれを補う円安となる
3.QEが欧米では2018年中に終了することが予想され、後進国から欧米への資金回帰(レパトリ)が起きつつある
という現象も明らかになっていました。
米国株式は高値圏にありリスクがあるので、米国債券を対象とした円キャリー取引を始める好機だったのかもしれません。
しかし、その後米国の利上げは12月の2.5%で終了となり、2019年3月のFOMC では19円のドットプロットも0回となりました。欧州、豪州、ニュージーランドの中央銀行も利上げを中止、資金は先進国から後進国へ回帰しており、通貨安競争の体を帯び始めました。資金も株式へ戻り再び適温相場になりつつあり、キャリー取引の機会はなくなりました。
2021年11月現在、日本はゼロ金利のままですが、米国はレパトリーに動き、ニュージーランドやイギリスは早ければ年内にも利上げに動くのではといわれています。ゼロ金利のままでレパトリーを始めたのに、これはレパトリーではないとラガルトECB議長が発言し、オランダやドイツ、東欧で新型コロナウイルスが再流行しているユーロも円と並んで2022年にはキャリートレードの対象となるかもしれません。
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