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ECB/欧州中央銀行

英語でEuropean Central Bank(ユーロピアンセントラルバンク)のことで欧州中央銀行と訳されます。ユーロ圏19ヶ国の中央銀行を指し、その政策金利を含む金融政策はECB が決定します。

 

ユーロは共通通貨であるため加盟国から選ばれた委員長と委員からなるECBが各国の中央銀行に代わり金融政策を担っているわけです。また、通貨介入は通常は中央銀行でなく財務省の管轄ですが、欧州では各国の財務省が担当するわけにもいかず、ECBの管轄となっています。

 

政策としては、他の中央銀行と比べてインフレ率に対して敏感だということが挙げられますが、これは主要加盟国のドイツがかつてハイパーインフレに苦しんだ時からの伝統となっています。

 

各国の中央銀行総裁6名からなる政策理事会により運営されています。過去8年の総裁はイタリア出身のドラギ氏でしたが、2019年11月に前IMF(国際通貨基金)の専務理事だったラガルト女史が女性として初のECB総裁に就任しました。

 

ユーロ圏の政策金利は6週間ごとに開催されるECB理事会で決定されますが、理事会はECBの4名の理事、EU加盟国19ヶ国から輪番制の15名の中銀総裁の19名で構成されています。

 

ドラギ前総裁が2017年末にはインフレ懸念から2018年からのテーパリング開始と2018年末でのQE打ち切りを発表、ユーロ高が進んだのは記憶に新しいところです。

 

しかし、2018年末には2ヶ月連続のマイナス成長も顕在化したドイツの景気後退、ブレグジットがノー・ディールとなるという懸念、イタリア財政問題、FRBの突然の利下げ変更などから、2019年夏からの利上げ予定は疑問視されていました。

 

そして、2019年3月7日の理事会では、フォワードガイダンスを修正、利上げの時期を本年夏以降かから来年以降に延期、銀行向け低利融資(TLYRO)を再開すると発表しましたGDP見通しも1.7%から1.1%、インフレ率見通しも1.6%からに1.2%大幅下方修正されました。

 

ドラギ総裁の会見後にユーロは急落、2019年には中長期的にもユーロ安という雲行きとなりました。その後もイタリアが2019年はマイナス成長に陥るのではという観測やドイツのさらなる景気の落ち込みが見られ、2019年は政策金利は0%に据え置かれました

 

豪ドルは中国景気不安定の影響と不動産価格の下落、イギリスはブレグジット問題を抱え、消去法的なドルインデックスの上昇が2019年は続きました。

 

2020年は巻き返しのドル安が予想されていましたが、各国の超金融緩和政策の元、3月を底にその通りとなり2021年にはユーロ/米ドルは1.2を超えました

 

しかし、FRBのテーパリング開始が囁かれ始めると6月には下落に転じています。ラガルド総裁は9月9日には政策発表後の講演で債券購入を縮小するがなぜかこれはテーパリングではないとのハト派の発言をしました。24日にもインフレも一時的なものと発言、米ドルが上昇しています。2%のインフレ目標を維持するインフレファイターとして知られるECBですが、方針転換でもあったのでしょうか?しかし、11月のCPIが+4.9%と25年前に統計開始後の最高を記録しました。オーストリア中央銀行総裁が、テーパリング終了前の利上げもありうるとの発言も飛び出しました。

 

タカ派への変身はいつになるのでしょうか?

 

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