リスクオン/リスク選好
かつてはリスク選好と呼ばれていましたが、近年は英語のrisk on(リスクオン)がそのまま日本語としても通じるようになっています。
リスクを取るという意味で、政治や経済の相場に与えるリスクが低いと投資家が判断すると、リスク許容度が高まり、強気となります。この結果起こる安全資産からリスク資産へ向かう動きを指します。リスクオフの反対ですね。
リスク資産である株式は買われ、反対に安全資産である金や債券は売られます。株式の中でも、特に金利の高いエマージング市場の株式に資金が集まります。米国株の中ではヴァリュー株という大企業中心のダウではなく、グロース株と呼ばれる新興IT企業が中心のナスダックです。
FXにおいては、新興国通貨をはじめとして、ポンドや、豪ドル、ニュージーランドドルのオセアニア通貨が買われます。売られるのは安全資産とされる円とスイスフランです。
米ドルはこの二つの通貨に対しては買われますが、他の通貨に対しては売られるのでドルインデックスは下落します。どちらかというとリスクオンでは下落する安全資産といえるでしょう。特に近年は米ドル安の傾向があります。また、負の相関である金との関係で考えても、金が買われ、米ドルが売られるということになります。
2017年まではリーマンショック後の2009年から10年近く適温相場と呼ばれたリスクオン相場が続いていることになります。しかし、2018年になってリスクオフムードも台頭してきて、2019年はもみ合いとなり、どちらともいえませんでした。しかし、新型コロナウイルスの流行により2020年3月にFRBが緊急利下げを行い、世界中が追随すると、株式や仮想通貨などが底を打ち、一気にリスクオンとなりました。歴史に例のない未曾有の金融緩和となり、お金が行き場を失ったためです。為替市場ではセオリー通りに高金利通貨やオセアニア通貨、ポンドなどが大きく上昇しました。ただし、米ドルは円に対しては年末までは下落したのは想定外でしたね。
2021年になってもリスクオン相場が続いていましたが、6月頃に米国でのテーパリングが噂になるとリスクオフに転じました。その後もみ合いとなりましたが、11月のBOEショック後は再びリスクオフに傾いています。
2022年はニュージーランドに続きいよいよ米国や英国でもテーパリングが終了、利上げが始まるので、もし株式や仮想通貨が崩れるとリスクオフとなりそうです。しかし、ソフトランディングとなりゴロディックスに戻る可能性も否定できません。
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