黒田バズーカ
黒田日銀総裁による3回行われている金融緩和策を指します。その規模の大きさから「異次元の金融緩和」とされ、市場で黒田バズーカと呼ばれるようになりました。和製英語と思われます。
量的・質的緩和とされ、国債の大量購入によるQE(量的緩和)と国債の中でも長期国債の購入による金利低下を狙う(質的緩和)を組合せたことが特徴です。短期国債でなく長期国債を大量に買い入れ、保有期間も以前の倍にするというものです。
第一弾は、2013年4月に発表された物価上昇率2%にするというものです。物価上昇率がマイナスのデフレに苦しんでいた日本にとっては大きな目標であり、そのため資金供給量(マネタリーベース)を2年で2倍にするとしたのです。この結果大量の資金が市場に投入され、モノの価値はあまり上がらなかったものの円の価値は下がり、2ヶ月で10円以上の円安ドル高となりました。それに連れて株式も、大幅に上昇しました。
この流れは得意の外貨買いに当たり、非常に単調なブルマーケットだったので、ミセスワタナベも大きな利益をあげることができたようです。
第二弾は、2014年10月に実施されました。ここでは物価上昇率が1%に留まっていたことから、資金供給量の年間増価額、長期国債の買入額、その保有期間の全てを第一弾よりも増加させるというものでした。
この際も第1弾同様、10円以上の円安ドル高、株高を誘発しました。
第三弾は、2016年1月に実施されました。物価上昇率2%を未だ達成できておらず、量的・質的緩和から金利の引き下げに、方針を変更しました。マイナス金利を導入したのです。
しかし、この政策はすでにECBもとっていたものであり、米国の金利も低く相対的な金利差は少なく、残念ながらあまり効果は産まれませんでした。
2018年にはECBの緩和政策でユーロ圏もゼロ金利となり、ユーロ円買いではスワップポイントはマイナスとなっています。2019年にはFRBも利上げを中止するどころか3回も利下げするなど、世界的な金融緩和政策の中で日銀の打つ手は限られてきているといえるでしょう。
そして新型コロナウイルスの流行で2021年3月にFRBが緊急利下げを行い歴史に例のない世界的な金融緩和となると、世界的なマイナス〜ゼロ金利時代となり、黒田バズーカという言葉はまったく聞かれなくなりました。しかし、2022年にはニュージーランド、英国に続いて米国も利上げに転じます。ECBはハト派発言を繰り返していますが、いつタカ派に転向しても不思議ではありません。日本は利上げはないので、黒田バズーカなしでも大丈夫そうですね。
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