私小説&海外古典短編小説

スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)松田遼司映画評論スコア(9点)

 『アベンジャーズ』シリーズの「ブラック・ウィドウ」役でおなじみの現代を代表するアメリカのブロンドの正統派セックス・シンボル。『ロスト・イン・トランスレーション』『真珠の耳飾りの少女』『マッチポイント』など代表作多数。04年にはルイ・ヴィトンの、06年にはロレアルの広告塔に起用されるなど「洗練された美しさ」も備えている。「演技力の高さにも定評」があり、「ウディ・アレン監督のミューズ」に選ばれている。以前は「セクシーな外見に反し、可憐で純真な役柄」が多かった。

 1984年ニューヨーク生まれ。94年に『ノース 小さな旅人』で子役として映画デビュー。96年には二人で生きるティーンの姉妹を描いた『のら猫の日記』の妹役で11歳でインディペンデント・スピリット映画賞主演女優賞にノミネートされ、注目を集めた。01年には高校卒業後ニートを続ける二人の少女を描いたソーラ・バーチ共演の青春映画『ゴーストワールド』がヒットとなり、脚光を浴びた。03年には作品の数が少ないことで知られる光と影を描いた天才画家フェルメールの同名作品に秘められた謎に迫った、モデルの少女と画家との関係を描いた『真珠の耳飾りの少女』で純粋な心を持つモデルの少女を演じ、その美しさと演技力が高く評価された。さらに同年にはソフィア・コッポラが東京を舞台に描いたビル・マーレー共演の恋愛映画『ロスト・イン・トランスレーション』が大ヒットとなり、英国アカデミー賞主演女優賞を受賞し、スターの仲間入りを果たした

 04年(07年日本公開)には、ニューオリンズを舞台に、引退した大学教授と彼の愛人だった亡くなった女性の娘との奇妙な交流を描いたジョン・トラボルタ共演の隠れた名作『ママの遺したラヴソング』で、『ロスト・イン・トランスレーション』に続きゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門)の候補となった。さらに同年(05年日本公開)にはオスカー・ワイルドの傑作戯曲『ウィンダミア卿夫人の扇』を映画化したヘレン・ハント共演の名作『理想の女(ひと)』で、魅惑的な年長の女性と夫との間に疑いを持ち、苦悩する純真な新婚の妻を見事に演じ、演技派女優としての地位も確立した。05年にはロンドンを舞台に上流社会に這い上がろうとする野心のある青年を描いたウディ・アレン監督作のサスペンス『マッチポイント』で、感情の起伏の激しい悲劇のヒロインを熱演し、ゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされた。

 06年にはジェイムズ・エルロイの同名小説を映画化したジョシュ・ハートネット共演のフィルム・ノワールの傑作『ブラック・ダリア』で可憐なヒロインを演じ、ウディ・アレン主演・監督のマジシャンが主人公のサスペンスコメディ『タロットカード殺人事件』ではコミカルな演技に挑戦、ヒュー・ジャックマンと再共演を果たした、過去の因縁によって互いに競い合う2人のマジシャンを描いた『プレステージ』でもヒロインを演ずるなど、大活躍の年となった。同年には米男性誌「FHM」の「世界で最もセクシーな女性100人」でトップに選ばれた。

 07年には、大学卒業後ふとしたことから投資銀行家の家庭でベビー・シッターを務めることになった女性を演じた人間成長ドラマ『私がクマにキレた理由(わけ)』がヒットとなった。08年には、ナタリー・ポートマンとの美人女優競演で話題となった16世紀のイギリスのヘンリー8世の宮廷を舞台に王の寵愛を受けることになるアン・ブーリンと架空の人物であるその妹メアリー・ブーリンを描いた『ブーリン家の姉妹』で、純粋な妹を可憐に演じた。スペイン・バルセロナを舞台とした一人の男と三人の美女との恋愛関係を描いたアレン監督と三度組んだ大ヒット『それでも恋するバルセロナでは、ペネロペ・クルス演ずる別居中の妻がいるハビエル・バルデム演ずるプレイボーイの画家のもとにに自ら飛び込んでいく積極的なヤンキー娘を魅力的に演じていた。09年にはベン・アフレック主演の恋愛コメディ『そんな彼なら捨てちゃえば?』に出演した。

 10年には『アイアンマン2』に「ナターシャ / ブラック・ウィドウ」役で出演、セクシーなスパイ役で大人気となった。以降、12年の『アベンジャーズ』、15年の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』、18年の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、19年の『アベンジャーズ/エンドゲーム』のシリーズ本編とそれぞれのヒーローが活躍する派生作品にも出演した。21年には自身が主演の『ブラック・ウィドウ』も映画化された。

 『アベンジャーズシリーズ以外でも14年には『her/世界でひとつの彼女』でAIを、17年には大人気アニメ『攻殻機動隊』を実写化した『『ゴースト・イン・ザ・シェル』で少佐を演じ19年には感動のネトフリ作品『マリッジ・ストーリー』でゴールデングローブ賞 主演女優賞ノミネートされるなど活躍を続けている。

 

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