フランソワ・トリュフォー(FrançoisTruffaut) 松田遼司の映画評論スコア(8点)
ジャン=リュック・ゴダールと並ぶヌーヴェルヴァーグを代表する監督。難解な作品の多いゴダールとは異なり、難解ではあるがより理解しやすいさまざまな愛の姿を描き続けた。『恋のエチュード』(71年)『緑色の部屋』(78年)など「死」と向き合う作品もある。
代表作は『大人は判ってくれない』から『逃げ去る恋』までの自らの体験を基にしたアントワーヌ・ドワネルものの5本、『突然炎のごとく』、『終電車』など多数あるが、名作と呼べるものは少ない。
1932年パリ生まれ。大の映画好きで映画評論誌「カイエ・デュ・シネマ」での先鋭的な批評で注目を集めた。ロベルト・ロッセリーニの助監督を経て59年に発表した自らの少年時の体験をつづったドワネルものの第1作である処女長編作『大人は判ってくれない』が大ヒットとなり一躍人気となった。
61年にはジャンヌ・モロー演ずる奔放な女性と二人の男性との3人での愛を描いた『突然炎のごとく』が当時ウーマン・リブ運動が起こりつつあったアメリカで多くの女性の共感を集め大ヒットとなり、一躍世界的な名声を確立した。
以降、成長したドワネル少年の恋を描いたドワネルシリーズの『20歳の恋 』(62年)『夜霧の恋人たち』(69年)『家庭』(70年)『逃げ去る恋』(79年)、中年批評家と美人スチュワーデスの恋を描いた興行的に失敗作となった『柔らかい肌 』(64年)、何度騙されても愛し続ける究極の愛をカトリーヌ・ドヌーヴとジャン=ポール・ベルモンド主演で描いた『暗くなるまでこの恋を 』(69年)、恋にとってのタイミングの難しさを問う『恋のエチュード』(71年)、映画撮影現場の人間模様を描きアカデミー外国語映画賞を受賞した『アメリカの夜』 (73年)などで巨匠の地位を確立した。
その後もイザベル・アジャーニ主演で現在で言うところのストーカー的な狂気の恋を描いた『アデルの恋の物語』(75年)、子供たちの日常を描いた佳作『トリュフォーの思春期 』(76年)、自ら主演し死者への過去の愛に生きる男の姿を描いた名作『緑色の部屋』(78年)、ドヌーヴ、ドパルデュー主演で第2時大戦下のレジスタンス運動に生きる劇団の人間模様を描きセザール賞主要十部門を受賞した名作『終電車』(80年)、かつての恋人が隣に引っ越してきたことから起きるドラマを描いた『隣の女』(82年)、『隣の女』に続き最後の恋人ファニー・アルダンの魅力が光る遺作となった『日曜日が待ち遠しい!』(83年)まで、さまざまな形の愛についてを描き続けた。
観ていて楽しい作風とは言えないので、アクション大作がお好きな方にはおすすめできない。ネクラの方向き。暗い時には観ないほうがよく、元気な時や向上心がある際に鑑賞するのが良いでしょう。
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