ジャンルイトランティニャン(JeanLouisTrintignant )松田遼司映画評論スコア(9点)
クロード・ルルーシュ監督の永遠のラブ・ストーリー『男と女』、ベルナルド・ベルトリッチの最高傑作『暗殺の森』、『離愁』などで知られるフランスを代表する性格俳優。いぶし銀のような渋い演技が魅力。
1930年フランス・ヴォクリューズ県出身。55年に映画デビュー。56年にブリジット・バルドーの出世作『素直な悪女』で準主役を演じ、59年にラクロの同名小説を現代に置き換えて映画化したジェラール・フィリップの遺作『危険な関係』でジャンヌ・モロー演ずる上流階級の夫人の愛人で、夫人に嫉妬される若者を演じ、さらに同年には第二次世界大戦中の北イタリアの避暑地を舞台に上流階級の人妻とファシスト高官の息子の激しい恋を描いた隠れた名作『激しい季節』で主役を演じ、脚光を浴びました。
66年にはアヌーク・エーメ共演で、子供の寄宿学校で出会った共に相手を亡くした男と女によるクロード・ルルーシュ監督による恋愛映画の傑作『男と女』がカンヌ国際映画祭グランプリを受賞、テーマ曲と共に世界中で大ヒットとなり、一躍スターの仲間入りを果たしました。
その後はカトリーヌ・スパーク共演の恋愛コメディ『女性上位時代』(68年)、エリック・ロメール監督の六つの教訓話シリーズの3作目で大人の上質な恋愛映画『モード家の一夜』(69年)、ギリシャの社会派の名匠コスタ=ガヴラス監督がアカデミー外国語映画賞を受賞したある暗殺事件を描いたイヴ・モンタン共演の名作『Z』(69年)などで演技のできる人気俳優の地位を確立しました。
70年にはモラヴィアの名作小説をベルナルド・ベルトルッチ監督が映画化したファシストの暗殺者を演じたドミニク・サンダ共演の傑作『暗殺の森』、72年には強盗団のボスと墜落事件でジプシーを殺したことでジプシーに追われるパイロットとの男同士の友情を描いたロバート・ライアン共演のルネ・クレマン監督の傑作ハードボイルド『狼は天使の匂い』、73年には第二次大戦中のフランスを舞台にナチスの手から逃れるため逃亡を計る列車で出会った共に妻子のある男女の愛を描いたロミー・シュナイダー共演の感動作『離愁』、75年にはアラン・ドロンと共演した刑事モノ『『フリック・ストーリー』』に主演、深みのある渋い演技で観客を魅了します。
以降、ロミー・シュナイダーと再び組んだ『華麗なる女銀行家』(80年)、ファニー・アルダン共演のトリュフォーの遺作となったミステリー『日曜日が待ち遠しい! 』(82年)、20年後の二人を描いた『男と女』の続編『男と女 II 』(86年)などに主演、高い存在感を放っていました。
日本では強面の印象で残念ながら人気はありませんが、本国フランスでは高い人気を誇っています。上記のルルーシュ、トリュフォー、ロメール、ベルトルッチ以外でも、ミヒャエル・ハネケ、ジャン=リュック・ゴダール、パトリス・シェローらの巨匠に登用されており、その演技力で右に出るものは少ないでしょう。
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