私小説&海外古典短編小説

ペネロペ・クルス(Penélope Cruz) 松田遼司の映画評論スコア(8点)

『オール・アバウト・マイ・マザー』『ボルベール〈帰郷〉』などのスペインの巨匠アルモドバル監督作品のミューズで、『バニラ・スカイ』『それでも恋するバルセロナ』などのハリウッド作品でも活躍するスペインを代表するセクシー女優。

 美しいだけではなく、アカデミー賞、ゴヤ賞、カンヌ国際映画祭などの女優賞に輝くなど演技力にも定評がある。

 74年スペイン・マドリード出身。

 92年に『髪結いの亭主』のアンナ・ガリエナ主演の6人の男女が交差しあう恋愛を描いたビガス・ルナ監督の名作『ハモンハモン』ハビエル・バルデム大胆なセックス・シーンを演じ、その美貌と共に一躍脚光を浴びた。さらに同年には、1930年代のスペインの田舎町を舞台に4人の美人姉妹のもとに住むことになった脱走兵の少年と4人との恋の駆け引きを描いたアカデミー賞外国語映画賞やゴヤ賞作品賞受賞の秀作『ベルエポック』で四女のルースを演じ、その可憐な美少女ぶりでブレイクを果たした。

 97年(98年日本公開)には初めてペドロ・アルモドバル監督と組んだ『ライブ・フレッシュ』でバスの中で主人公の男の子を生む美しい娼婦を演じ、高い存在感を放った。さらに同年(99年日本公開)には事故に遭ったプレイボーイの青年の夢と現実が交錯する傑作サスペンス『オープン・ユア・アイズ』で青年が憧れるヒロインを演じ、人気を確立した。

 98年にはナチスの宣伝相ゲッベルスの提案でドイツ・スペイン合作の映画撮影のためにベルリンを訪れるスペインの映画人を描いた人間ドラマで、ゴヤ賞作品賞受賞の名作『美しき虜』でヒロインの主演女優を演じ、ゴヤ賞主演女優賞を受賞、スペインでは演技派女優としての地位も確立した。さらに99年(00年日本公開)のアカデミー外国語映画賞受賞のアルモドバル監督の名作『オール・アバウト・マイ・マザー』でエイズに感染し妊娠した尼僧を演じ、国際的に高い評価を受けた。さらに同年(02年日本公開)には『ハモンハモン』のルナ監督と再び組んだスペインの宮廷画家ゴヤの代表作『裸のマハ』を巡る女性たちを描いた人間劇『裸のマハ』でヒロインを演じた

 00年には50年代の牧場を舞台としたマット・デイモン共演の『すべての美しい馬』でハリウッド進出を果たした。その後はブラジルからアメリカにわたった天才的なコックを演じた『ウーマン・オン・トップ』(00年)、『オープン・ユア・アイズ』を私生活のパートナーとなったトム・クルーズがリメイクした、同じヒロイン役を演じた『バニラ・スカイ』(01年)、第二次世界大戦下のギリシアのある島を舞台に占領軍のイタリア軍の大尉と島の娘の恋を描いたニコラス・ケイジ共演の『コレリ大尉のマンドリン』 (01年)、70年代の伝説のドラッグ・ディーラーを描いた ジョニー・デップ共演の『ブロウ』 (01年)などに立て続けに主演、ハリウッドでもトップスターの地位を確立した。

 03年にはフランスに招かれ、ジェラール・フィリップ主演の1952年の名作をリメイクした、18世紀のフランスで恋に生きる騎士ファンファンの活躍と恋を描いたヴァンサン・ペレーズ共演の『花咲ける騎士道』でヒロインのアドリーヌを演じ、04年にはイタリアに招かれ、美しい妻との幸せな暮らしになぜか満足できない孤独な医師が田舎で出会った貧しい女性との衝動的な愛に溺れていく『赤いアモーレ』で悲劇のヒロインを熱演しヨーロッパ映画賞を受賞し、ヨーロッパでも人気を確立した

その後もアルモドバルと三度組んだ母、娘、孫の三代の女性たちの葛藤を描いたカンヌ国際映画祭などの女優賞を受賞した名作『ボルベール〈帰郷〉』(07年日本公開)、嫉妬に念にかられる初老の大学教授と30年下の教え子の恋を描いたベン・キングズレー共演の『エレジー』(09年日本公開)、スペイン・バルセロナを舞台とした一人の男と三人の美女との恋愛関係を描いた、『ハモンハモン』で共演した私生活のパートナーのハビエル・バルデム演ずるプレイボーイの画家のいかれた元妻を演じアカデミーやゴヤ賞の助演女優賞を受賞したウッディ・アレン監督による大ヒット『それでも恋するバルセロナ』(09年日本公開)、アルモドバル監督と4度組んだ、映画監督と愛し合うことで復讐される富豪の愛人を演じた『抱擁のかけら』(10年日本公開)、フェリーニ監督の自伝的名作『8 1/2』」を基にしたブロードウェイ・ミュージカルを映画化したオールスターキャストによる『NINE』(10年日本公開)などで、アメリカとスペインをまたにかけて活躍、世界で最も有名で、成功した女優の一人となった。

 2010年には、何度も共演していたハビエル・バルデムと結婚した。その後も活躍を続け、大ヒットシリーズの4作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(11年)ではキーラ・ナイトレイに代わりヒロインを演じた。ハビエル共演のサスペンス『誰もがそれを知っている』(18年)、ヴェネツィア映画祭女優賞を獲得したアルモドバル監督『パラレル・マザーズ』(21年)などで変わらぬ活躍を見せている。

 

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