ゾルタン予言のL字型暴落!過去3回は金融危機となった求人数は減少、ウォール街重鎮は現金化加速!
ゾルタンの予言にあるL字型の暴落が、いよいよ現実化してきました。過去3回の金融危機の指標となった非農業部門求人数は減少傾向にあり、バフェット氏、フィンク氏に続きダイモン氏も現金化比率を高めています。
ムーディーズの米国国債の格下げで長期金利は再度上昇へ!
ブルームバーグにあるように9月末時点での米国30年国債の下落率は53%と、2000年〜2002年のITバブル時の米国株価下落率の49%、2008年のリーマン・ショック事の57%と並ぶ急落となっていました。
「世界で最も安全な資産と言われてきた米国長期国債」ですが、
・8月のフィッチによる米国国債格下げによる米国政府債務への注目
・中国、サウジ、日本など諸外国の外貨準備高における米国国債保有の減少
により、大きく下落してきたわけです。ゾルタンの主張する米国の巨額な財政赤字を海外諸国が米国国債購入による補ってくれるブレトンウッズ2体制が崩壊、中長期的には基軸通貨が米ドルから金兌換通貨へと移行するブレトンウッズ3体制が現実化「米国長期債券保有は高リスクとなり高プレミアムが要求される」からです。10月23日には2007年以来16年ぶりに「米国10年国債利回りが節目の5%に到達」しました。
しかしそのタイミングで米国30年国債をショートしていたアックマン氏が買い戻し、10月の米国雇用統計も予想を下回ると、10年債利回りは4.5%まで下落しました。市場ではヘッジファンドのショート買い戻しが大きかったと噂されています。
反対にブルームバーグの11月10日の記事によると「S&P500は100日移動平均と節目の4400を上回るほど大きく上昇」していました。FEDの利上げが終了したという「市場のいつもの楽観論」が原因です。利下げ予想時期も2024年9月から5月へと前倒しされていました。
しかし、前日にはパウエル議長のタカ派発言により株式市場は下落していました。金利低下への市場の期待を冷やすためのようです。このシリーズで何度も紹介してきたように現在の「FEDの目標はインフレの沈静化」です。過去にはもう一つの目標である完全雇用の維持は犠牲にしてもよく高金利による「失業率の上昇によるリセッション期待」の発言もありました。
このタイミングで飛び出したのが「ムーディーズが米国国債の信用格付見通しをステーブルからネガティブに引き下げた」というニュースです。先日の「30年国債のオークションが低調で、買い手がいなくFEDに頼るしかない状況」となったのと、ブルームバーグ表題にあるように「財務省が金利支払額が1兆ドルを超えると認めた」ことがが引き金でしょう。ブルームバーグに書かれているように、財政赤字/GDP比率が6%を超え、長期国債の引き取り手が無い中で「債務償還能力が疑問視された」ということでしょう。Aaaは維持したもののフィッチとS&Pに続く格下げにより米国長期国債の信用は低下、利回りは再度上昇に向かうでしょう。FEDの利上げによる短期金利の上昇とは相関はありますが債務問題に比べれば低いわけで、市場はまたも楽観視しすぎたということになります。
米国外の機関投資家にとっても、例えば日本の機関投資家ならば、1ドル=150円での3ヶ月や6ヶ月の短期債購入はともかく長期債購入には為替リスクが伴います。「来年春の日銀のゼロ金利政策放棄で円高に向かう可能性が高い」ためです。収拾不可能な債務危機による長期保有リスクのプレミアムに加え為替リスクのプレミアムも加わり「10年債利回りも再度5%を目指す」でしょう。
FXでは指標となる10年債券の金利差により「ドル指数は上昇」し、米国株式は長期債券利回りと逆相関するので下落に向かうこととなります。ブルームバーグにあるようなモルガン・スタンレーのウイルソン氏の「先週の上昇はベア・マーケット・ラリー」やブラック・ロックのラリーは短いという予想通りに「米国株式のサンタクロスラリーは一旦停止」となりそうです。
バフェット氏、フィンク氏に続き、ダイモン氏も株式を現金化へ!何かが起きる?
日本にも信者が多いバフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ。ブルームバーグに書かれているように「7月〜9月期に保有する現金が史上最高の1570億ドル」となり、株式を大きく売却していることが明らかになりました。バフェット氏の現金化保有を高める方針は以前にも紹介しており変化はありません。世界最大の資産運用企業「ブラックロックのフィンクCEOも4月、7月と自社株を売却」しています。
問題はロイターにある米国最大銀行「JPモルガン・チェースのダイモンCEOが就任18年後に初めて自社株を2024年に売却する」というニュースです。「FF金利が7%の世界への備えができていない」という9月の発言に続き10月末に発表されています。リーマン・ショック時にも自社株を保有し続けたダイモン氏が売却をするのは驚きだと、市場では語られています。元債券王グロースも言及していました。
業界の重鎮三人が現金比率を高めているのは「ITバブルの破裂やリーマンショックのような金融ショックが起こると考えている」のかもしれません。底値で買えるように備えているということでしょう。
ブルームバーグによるとシタデルのグリフィン氏も「33兆ドルもの政府負債は維持できない、FRBが助けた途端にリセッションとなる」と警告しています。
3月のSVB破綻による「水面下の地方銀行危機は進行」しています。ナスダックの「銀行株インデックスは破綻後の5月安値を更新」しています。「S&P500全体と比較すると史上最大の落ち込み」だそうです。MMFや3ヶ月や6ヶ月の米国短期債券に「銀行預金から資金は流出」しています。ロイターの記事に書かれているようにゴールドマン・サックスによると「ヘッジファンドが米国の金融株を5年ぶりの高水準でショート」しているそうです。
米国商業用不動産市場は、空室率がリモートワークの普及により悪化しています。CBREによると第2四半期の「空室率は18.2%と30年ぶりの高さ」となり、今後も上昇が続くようです。 銀行の商業用不動産ローンの滞納率も10年来の高さとなっているそうです。FEDも注意深く観察しているという高金利による「銀行の損失と商業用不動産問題が金融危機の発端」となりそうです。
FDICが25万ドルを超えた預金を保護することでSBVなどの3行破綻による金融危機は収まりました。預金者は保護されても破綻による損失は政府の財政危機を悪化させ、さらなる高金利を生じさせます。銀行は商業用不動産がデフォルトとなり損失が拡大し預金も流出、高金利の恩恵は受けていません。SBV破綻の原因となった商業用不動産ローン債権と米国長期国債の価格は下落を続けています。「金融部門はやはり相当危ない」のではないでしょうか?
そしてオフィス需要低迷で、シェアオフィスの「WeWorkが遂に破綻」しました。金利高騰により新興の赤字企業は、財務状況が厳しくなっています。ロケット発射企業のAstra Spaceも創業者が30億ドルで非上場化を申し入れたそうです。成長著しい電気自動車業界でもYahoo finance!によるとイーロン・マスク氏が「ルーシッドやリヴィアンの両方もしくはどちらかが破綻する」と語っているようです。調べたところ2年ほどの事業資金はありましたが、EV市場が伸びるという前提です。販売台数と販売価格は減少してきています。ITバブル時のエンロンのような「巨額倒産が金融危機の引き金となる可能性」も出てきました。これらは全てSPAC合併を利用した上場企業であり「SPAC上場銘柄には注意が必要」です。投資する企業の「運転資金のチェックはハイグロ株投資には不可欠」となりました。VCは2023年第3四半期に前年比60%もスタートアップ投資を減らしています。「時価総額が高すぎた潰れそうなスタートアップを安く買う為の準備」だそうです。
いつ起きるかは分かりませんが「金融危機が起きる確率は高まっている」ようです。
消費者も負債に苦しんでいる!米国非農業部門求人数の減少は過去3回の金融危機と一致!
政府や企業だけでなく消費者も苦しんでいます。以前の記事に書いたように「クレジットカード、自動車、学生ローンは全て史上最高の1兆ドル超え」です。クレジットカード金利は25年ぶりに20%を超えており支払いの限界に達しています。滞納率も増加しています。
特に問題なのが「アメリカンドリームである住宅の購入・維持が困難」となっていることです。住宅金利ローンが8%に近づき、3%平均で借りている現在の保有者が売る気にならずに在庫が不足しています。供給面の制約から価格が高止まり添付チャートにあるように「年収中央値の7倍超えとなり史上最高」となっているからです。さらに添付資料に見られるように平均的な4500万ドル(約7000万円)の住宅を購入した際の毎月の支払いは3%の際の1,925ドル(約30万円)から7%の際には2,923ドル(約45万円)へと増加します。米国の給与が日本の倍とはいえ「支払いが困難なことは明らか」でしょう。そして現在の30年固定住宅金利は一時7.9%をつけ第4四半期は7.8%と予想されており、支払額は3,000ドル超えとなります。
新型コロナウイルス時に支払われた補助金で潤った貯蓄は、以前の記事で書いたように、SFFEDによると9月には底をついているはずです。そしてピーター・シフシリーズで紹介してきたように強いとされていた「労働市場は実は弱く、10月の統計でそれが明白化」しました。「ピーターの主張は現在では多くのメディアに紹介」され、彼は毎週のようにインタビューされています。労働市場に関する解説は以下です。
・増加していたのはパートタイム労働者で正社員は減少していた
・正社員でなくなったため2つまたは3つの仕事をしているため雇用数が見かけ上増加していた
・雇用の大半は政府労働者でありこれで雇用者数を増加させていたが民間の雇用は弱かった
・政府労働者の増加は米国政府債務の増加=インフレに繋がる
・過去9ヶ月のうち9月を除く8ヶ月は、速報値が改悪されている。見かけ上統計が強くみえていただけの統計操作が実施されている
10月の失業率は3.9%でした。「失業率の3ヶ月移動平均が0.5%上昇するとリセッションになるというサーム・ルールという法則」があります。春の3.4%から10月は0.43%上昇しています(8月:3.8% 9月:3.8% 10月:3.9%)「11月の失業率が4%以上になるとリセッション入り」となります。失業率は上昇してきているので、確率は高いでしょう。
そして添付チャートで記されているように非農業部門求人数が減少している時期に起きているのがITバブル崩壊、リーマンショック、新型コロナウイルスショックの過去3回の金融危機です。現在の状況は、9月は8月を若干上回りましたが「2022年12月をピークに下落傾向」にあるのが読み取れるでしょう。
米国政府債務はグリフィン氏によるともはや「酔っ払った船員状態」で制御不能です。非農業部門求人数は減少を続け、サームルールによる11月のリセッション入りは、ほぼ確実です。銀行債務問題と商業用不動産問題で銀行株は過去最低まで売られており、経営トップであるダイモン氏やフィンク氏でさえ手放しています。バフェット氏は現金保有をさらに増加させています。
今年なのか来年なのかは分かりませんが「L字型の暴落を伴う金融危機が起きるというゾルタンの主張をウォール街の重鎮も遂に認めたのは確実」のようです。イエレン財務長官とパウエル議長が約束している「ソフトランディングの達成は困難」であり「グローバリゼーションの終焉」によりゾルタンの呪文である金利とインフレの「ハイアー・フォー・ロンガーが再び息を吹き返した」ようです。イエレン氏は2007年にFRB副議長に就いていた際も「ソフトランディング」を主張していましたが2ヶ月後に起きたのは「世界金融危機」です。そしてパウエル議長自身が11月9日の講演で「ハイアー・フォー・ロンガー」を認めています。