メイプルベアはインスタカート(Instacart)として知られるオンライン・スーパーマーケット!
松田遼司の次世代のテンバガー候補紹介「メイプルベア(Maplebear) 」
ABSメルマガ執筆時 2023年10月12日株価24.7ドル
コラム掲載時 2024年4月23日株価33.4ドル
株価上昇率: +35%
今回はインスタカート(Instacart)という商標名で知られるメイプルベア(Maplebear)社について、将来の起業家・米国ハイパーグロース株投資家であるみなさんと共に、見ていきましょう。
メイプルベア(Maplebear)/インスタカート(Instacart)の資金調達の経緯
メイプルベア(Maplebear)社は、インスタカート(Instacart)という商標で食料品・日用品・医薬部外品などスーパーマーケットで扱う商品を配送してくれるオンライン・スーパーマーケット事業を展開する米国企業です。注文はウェブサイトまたは携帯アプリから可能となっています。顧客は、多くの参加小売業店舗から商品を選ぶことができます。配達はウーバーイーツ同様にギグワーカーに委託されています。本社はサンフランシスコで米国とカナダが現在の活動地域です。
メイプルベア(Maplebear)の資金調達には、セコイア・キャピタルなどの大手VCが参加しています。2015年に約600億円、2017年に約600億円、2018年には約300億円、約900億円、さらに約400億円を集め、軌道に載りました。2021年にはさらに約400億円を調達しています。評価額は約6,000億円となりました。
2023年9月にナスダックに上場、資産価値は約1兆5千億円という巨額となっています。
ティッカー・シンボルはCARTです。株価や掲示板についてはYahoo!ファイナンスを御覧ください。最新ニュースについてはグーグルの検索結果を参照ください。
インスタカート(Instacart)の概要と沿革
インスタカート(Instacart)は、2012年に元アマゾンの商品を注文してから顧客の手元に届くまでの業務を担当するサプライチェーン・エンジニアだったインド系カナダ人により設立されました。「この分野の専門家による創業」だったわけです。2010年のアマゾン退職後には10以上もの事業にトライしたそうで、やはりこうした「情熱が起業家には必要」だと思い知らされました。
起業は、同年のスタートアップ支援企業Yコンビネーターによる「夏季開催のアクセラレーション・プログラム参加がきっかけ」となりました。将来の起業家のみなさんには、この定期的に開催される「バッチ」と呼ばれるプログラムには参加をおすすめいたします。
2013年には創業者がフォーブス誌の「30歳以下の30の著名人」リストに選ばれています。コストコのような「メンバーシップ・サービス」を創設、合法地域には「アルコール飲料の配送」も開始しています。
その後サンフランシスコを手始めに、シカゴ、ボストン、アトランタ、マイアミ、ワシントンDC、ミネアポリスと全米の大都市に進出していきます。
2017年にはカナダの同業と提携し、バンクーバーとトロントでカナダにも事業を拡大します。
2018年にはカナダの食料品のホワイトレーベル(OEM)企業を買収、自社ブランドを保有することとなりました。カナダの11の地域に事業を拡大しました。
チップなどでトラブルが多かったため「5%のサービス料金の徴収を開始」しました。画面操作が簡単となったため、チップに関するクレームや不具合も減少さたようです。
提携小売店もカナダのウォールマートやステープル、コストコなど大手にまで拡大しました。
2019年に開始した「アルコール飲料の当日配送」は好評で、年末までに20以上の州、30以上のパートナーにまで拡大しました。
2020年には新型コロナウイルスの流行でアプリのダウンロードが急増、新たに30万人を雇用したそうです。「米国のウォールマートやステープルとも当日配送サービスで提携」しました。米国ではシャットダウンも起きていたので、新型コロナで業績を拡大したのは容易に想像できます・
2021年には配送者からのクレームに対応し、配送者へのワクチン注射サービスを提供を開始しました。
2022年にはデルタ航空のマイレージプログラムのメンバーとなっています。メトロなど「カナダのトップ5スーパーマーケットと提携」も果たしました。家族メンバーシップ製も導入、会員以外の家族の使用が無料となりました。
多くの買収も実施していますが、特にこの年に行われた提携パートナーの為のAIによる値付け企業買収は注目されています。
2023年には上記のようにナスダックに上場しています。
インスタカート(Instacart)の製品と問題点
インスタカート(Instacart)の製品は、提携スーパーマーケットの食料品、日用品などの商品を消費者の自宅に送り届けるという非常にシンプルなものです。購入から配送までをギグワーカーが担当しています。
日本でも一時シンガポールの企業による外人向けスーパーからコストコの商品までいくらかの手数料で届けてくれるというサービスがあり、筆者もよく利用していたのですが、あっという間に撤退してしまったのは残念でした。「どれだけのスーパーが参加しているか」と「手数料がどれ位付加されるか」が成功の鍵だと思われます。そのサービスはどちらも満足できたのですが、やはりコストがかかりすぎたのだと思われます。提携スーパーから小売価格よりも安く仕入れないとやっていけないような低料金だったのですが、人気スーパーが揃っていたので、あまり安く仕入れられなかったのではと考えられます。
インスタカート(Instacart)は提携スーパーも拡大し、手数料もギグワーカーの取分を少なくすることで低く抑えているのが躍進の要因でしょうか?
アルコール飲料の当日配送は人気で、現在では27州とワシントンD.C.とカナダの2州で行われています。映画で見られるようにパーティーが頻繁に開かれる国民性があるのでしょう。学生への販売を禁止するために21歳以上であることを証明するためにID提示が必要となっているようです。
インフルエンサーが商品を紹介してくれる「CARTS」という機能が、自分が今まで知らなかった、憧れの商品が簡単に手に入ると評価が高いようです。「グラミー賞受賞歌手が泡風呂でインスタカートのアプリを使って好きな商品を簡単に手に入れるというCM」は、いかにも米国人受けしそうだと感じました。
インスタカート(Instacart)の問題点は、ギグワーカーに配送を頼っていることによるトラブルです。日本でもウーバーイーツ配送員への待遇が問題となっていますが、創業以来トラブルが続いているようです。1回の配送がたったの100円という時代もあったようです。また、新型コロナ流行時には、感染防止の安全キットの提供や特別手当も支払われないことからストライキも起きています。どうしてサービスの重要な担い手でありギグワーカーとの「ウィン-ウィン」を考えないのかが、不思議で仕方がありません。
2021年には組合化を進めた従業員を含め2,000人もの解雇を計画しています。提携パートナーが集荷作業を行うようになったというのが理由ですが、本当でしょうか?
誰にでも簡単に思いつくビジネスモデルなのですが、ここまで高い市場価値を獲得できたのは何が要因だったのでしょうか?高齢化社会の日本でも、例えば東京で外人スーパーなどと提携し、富裕層向けにビジネスを展開すればうまくいくような気がしますが、いかがでしょうか?このシリーズでは珍しいローテク企業の紹介ですが、ゲームチェンジャーとなるようなハイテク企業よりも市場の評価は高いです。こうした誰でも思いつき高い技術を要しない分野にも、起業のチャンスがあるとご理解頂ければ幸いです。