米国ハイパーグロース株銘柄の紹介

ピンタレスト(Pinterest)で自分の好みに合った画像を集めてウェブ版コルクボードを作成!

松田遼司の次世代のテンバガー候補紹介「ピンタレスト(Pinterest)

ABSメルマガ執筆時 2022年10月1日株価25ドル

コラム掲載時 2023年8月17日株価26.7ドル

株価上昇率: +7%

「松田遼司の次世代のテンバガー候補紹介」。今回はピンタレスト(Pinterest)について、将来の起業家・米国ハイパーグロース株投資家であるみなさんと共に見ていきましょう。まずは資金調達の経緯について解説していきます。

 

ピンタレスト(Pinterest)の資金調達の経緯

 

ピンタレスト(Pinterest)は、10年ほど前にはインスタグラムとよく比較されていた画像シェアリング・SNS企業です。EC企業という側面もあります。

 

2012年にインスタが当時のフェイスブック(現在はメタ)に買収されると、SNSとしては一気に差がついてしまいました。そうはいっても同年には既にトップ10SNSにランクされており、日本ではまだあまり知られていないですが、欧米では人気となっています。当初は80%のユーザーが女性ということも話題となっていました。近年は画像検索やショッピングカタログ機能にも重点をおいているようです。

 

ハリウッド映画を見ている方はご存知だと思いますが、米国ではコルクボードに家族や恋人などのお気にいりの写真やメモなどを画鋲・押しピンで貼るのが習慣になっています。この機能をウェブ化したアプリと考えて頂くと、分かりやすいと思います。Pin(画鋲・押しピン)とInterest(興味)の造語でPinterestとなります。米国人は本当にこの造語のセンスが良いですよね?

 

2011年にはシリーズAで約10億円、200億円と評価され、さらに約30億円を集めました。

 

2012は多くの賞を受賞し、評価が高まった躍進の年でした。上記のインスタのフェイスブックによる買収の好影響もあったでしょう。「楽天主導で約100億円を調達、時価評価額は約1,500億円」となり資金の心配はなくなりました。2013年には約250億円を集め、時価総額は約4,000億円となります。

 

2014年には初の広告収入を計上、新たなマネタイズ方針も確立されました。2015年には約1兆3千億円と評価され、ユニコーン入りを果たしました。

 

そして、2019年2月にナスダックに上場を果たしました。当時の時価総額は約1兆5千億円でした。現在は、ラッセル1000の構成銘柄にも選ばれており、米国を代表する新興企業の一つとなっています。

 

ティッカーシンボルはPINSです。現在の株価や掲示板についてはYahoo!ファイナンスを御覧ください。最新ニュースについてはグーグルの検索結果を参照ください。

 

ピンタレスト(Pinterest)の概要

 

ピンタレスト(Pinterest)は、当初は画像シェアリング・SNS企業に分類されていましたが、現在では画像検索・ウェブ上でのカタログショッピング企業と定義付けられているようです。

 

他のSNSや画像シェアアプリとの違いは、「ホームページ上に、自分の保有する画像だけでなく、他人の画像を収集し、表示できる」という点です。

 

「収集方法は、検索」です。例えばアートでは、ボッティチェリやルノワールなど自分の好きな画家、印象派やルネッサンスなどの彼等が属するジャンル、アール・デコやアール・ヌーヴォーなどの絵画だけでなく建築・工芸を含む芸術運動などの用語を検索するのです。ジャンルで検索すると、自分の知らないアーティストの発見があるかもしません。スポティファイで好きなアーティストを検索すると類似したアーティストの楽曲が流れて、「このアーティストをフォローしよう!」となるのと同じイメージです。

 

髑髏ファッション好きの方ならば、クロームハーツに代表されるスカルや十字架などの画像を収集できますscull jewelryやscull on tshirt、 その中でもクロームハーツ好きならばChrome heartsという用語で検索すれば、関連画像がずら~と表示されます。その中からお好きな画像を選んで保存ボタンを押せば、その画像がご自分のホームページに表示されます。

 

一つの画像だけでなく、その画像のユーザーが気に入れば、ユーザーをフォローすることでそのユーザーの画像が表示されるようになります。しかし、そのユーザーがサーファーだとすると、興味のないサーフィンの画像も表示されてしまうので、ユーザーではなくサーフィン、スカルジュエリーなどボードと呼ばれるカテゴリをフォローするのがおすすめです。

 

仮想空間上に自分の趣味のものを集めた部屋を作るなどのソフトウェアが2000年代から販売され、現在のメタプラットフォームへと繋がっています。この「ピンタレスト(Pinterest)を使えば、自分がどのような個性、テイストの人間なのかを表現できる」わけです。

 

訪ねてみたい風景、好きなファッション・ブランド、動物、ミュージシャン(アルバム・ジャケットやTシャツ)、映画やテレビドラマシリーズ、漫画やアニメ、俳優、車、スポーツ選手などの画像を集めていけば、「ご自身の趣味の世界が徐々に出来上がり、ピンタレスト(Pinterest)を開くだけでお気に入りの画像で構成された世界に浸ることができる」わけです。

 

「ピンタレスト(Pinterest)は他のSNSとは異なり、交流型ではなく自己完結型」といえるでしょう。自分の行動を公開してフォロワーを増やし、「いいね」をもらう、つまり「他人に認めてもらうことが目的ではなく、自己の世界を構築していく」わけです。

 

2022年6月時点で、「世界で4億3千万人もの月間ユーザー」を有しています。「他人などどうでもよく、自分は自分という個性的な方に向いている」わけで、「流行をメディアに頼っていて個性よりも他人との同質化を重視する一般の日本人には向いていない」のが、楽天が出資しながらも日本ではあまり知られていない理由なのではないでしょうか?「日本人でもディープな趣味を持つ人やオタクの方にはオススメできるアプリ」だと思います。

 

2020年に広告収入が前年比5割も伸びて約2,000億円となるなど、上記の概要で想像できるように、「新型コロナウイルス禍で成長した企業の一つ」です。しかし、コロナ流行による減収を予測し、3月には「ピンタレストプレミアという動画広告」を開始、広告の属性にあったユーザーのフィードに表示されるようにしました。10月には撤回されましたが、ペイパルによる買収オファーも受けました。

 

「グーグルの画像検索結果をピンタレスト(Pinterest)ユーザー所有のものが大半」を占めるようになっていました。そのため、多様性を求めるためのグーグルの「検索結果改定により2021年にはウェブからの流入が約30%も減少」しました。

 

しかしこうした逆風にも関わらず、「2021年の売上は約3,500億円、純利益は約400億円の黒字」という堂々たる結果となりました。2022年3月には「ピンタレスト・テレビスタジオ」という動画ストリーミングアプリも発表しています。6月にはEコマースの専門家が創業者に代わりCEOに就任、「今後はEC分野にも注力し」ていくようです。

 

広告モデルだけでなく、ECを強化するなど「マネタイゼーションに成功」しています。ハイグロ株投資家にとっては、今後が注目される企業といえるでしょう。

 

ピンタレスト(Pinterest)の沿革

 

ピンタレスト(Pinterest)は2009年にシリコンヴァレーのパロアルトで設立されました。創業者の一人による「To te」という紙のカタログのウェブ版アプリが原点です。当時は携帯電話での商品の大量購入ができなかったためだそうです。つまり「当初から実はSNSではなく、ECサイトだった」ということですね。

 

「2010年にはベータ版をローンチ」しました。当時のアプリの主流であった招待制でしたが、「年末には1万ユーザー」が集まりました。

 

2011にまずはiPhone用、続いてiPadやアンドロイド用アプリをリリース、「Time誌でベスト50ウェブサイト」に選出され、急成長を遂げます。年末にはある分析ルーツによると、「トップ10SNS」にランクされました。「テック・クランチ誌ではベスト2011年スタートアップ賞」を獲得しました。翌年1月には「米国だけでもユニークユーザー数が1200万人」となりました!成長率は2年間でなんと1200倍であり、最速記録となり、招待制度は廃止されました。

 

たった2年でそこまで評価されるとは、やはり「起業にはアイデアが重要」なのだと、将来の起業家のみなさんには理解していただきたく思います。

 

2012にはサンフランシスコ市内の美術館やギャラリーが集まるSOMA地区に移転します。やはり、お洒落なアプリであり、アート志向が強いのでしょうか?

 

その後「ピンタレスト(Pinterest)自身がユーザーの商品を売ることを禁止したのを手始めに、多くの機能を実装」していきます。

 

2013年には企業の宣伝やEC用の「ビジネスアカウント」を開設、レシピサイトならば調味料の名前、分量やカロリー、ECサイトならば価格やサイズなどが表示される「リッチピン」をスタートしました。2015年には商品を直接購入できる「買えるピン(2018年に製品ピンに統合)」をリリースします。

 

同年には画像検索のテストを開始、2017年に本格運用を開始しました。現在ではAIを使用しているそうです。「ピンタレストアナリシス」という「グーグルアナリティクス」と同様のトラフィック解析機能も導入されています。どの曜日、どの時間にどの製品が人気か、最もクリックされたピンはどれかなどの情報は、企業のマーケティング担当者の助けになることでしょう。

 

2016年には買収した企業による「Amazonのようなレコメンド機能」も設置されました。

 

2017年にはリンクをボード(前回ふれたカテゴリー)に統合、2020年には現在のトレンドを知らせるための「流行のピン」を開始しました。

 

2021年にはクリエイターを呼び込むためのクリエイター資金も開設しました。

 

2022年にはAIベースファッションプラットフォーム企業を買収、「ウェブ上のショーケースとしてハイブランドを含む小売店に人気と」なっているそうです。

 

2013年には世界中のユーザー数はロイターによると2月に約5000万人、他の調査機関では7月に約7000万人となり、急成長が続きました。2016年には約1億5千万人となり、米国と海外がほぼ半分となるほど米国外にも普及しました。成長は止まることなく、2018年には約2億5千万人、2020年には約4億人に達しました。

 

ピンタレスト(Pinterest)の商品と問題点

 

その商品は創業者によると、「アイデアのカタログ」だそうです。「ユーザーのホームページがその嗜好を表現」しています。属性は当初は80%が女性でしたが、現在は60%で男性ユーザーも増えているようです。40歳以下が主要ユーザーで、特に「18歳から25歳以上の層が26歳以上の倍以上のペースで成長」しているのは、投資家にはよいニュースといえるでしょう。

 

ユーザーのホームページは、旅行、ファッション、美術、漫画などの大分類ではなく、リゾートやハワイ、ルイヴィトンやエルメス、ウィーン分離派やクリムト、ジブリやトトロなどの「自分の趣味にピッタリの『ボード』と呼ばれる小分類のカテゴリ」で構成されます。「ボードはピン(世界中のURLからセーブしたり、自分の写真からアップロードした画像)やリピン(他のユーザーのホームから保存)した画像からなって」います。近年はやはり「TikTok」の人気が無視できないようで、「動画も保存」できます。ピンするという用語が使用されていますが、実はグローバル化の影響で2016年にセーブ(保存)に変更されています。この他に、上記のように「フォローした人やボードの画像や趣味に合致した広告も表示」されます。

 

商品をPRしたり、販売する目的の「ビジネスアカウント」は別ですが、「個人アカウントでは、他のSNSとは異なり、フォローやフォロワー数は重要視されていません自らの趣味を追求して、ホームを洗練させていくのが目的」です。オタク向けの一人遊びといったらいいすぎでしょうか?

 

しかし、他人のホームの画像を保存する「リピン」を行うと当人に通知されるので、「同じ嗜好の人と交流するSNS的側面もある」わけです。「同じ趣味の人を見つけるという点では、ピンタレスト(Pinterest)が1番適している」のではないでしょうか?

 

近年は、ピンタレスト(Pinterest)自身は自社商品を、「ピン(保存)した気に入ったアクセサリーなどの商品を購入したり、広告されていたライブを見に行ったりする行動に繋がる画像検索エンジン」と定義づけているようです。

 

「嗜好が似ている商品がユーザーのホームに表示」されます。例えばネイティブ・アメリカンによるインディアン・ジュエリーがお好きな方でしたら、そうした画像を集めていると自分が集めたわけではないジュエリー店の広告も表示されます。そうした広告は自分の趣味に合っているので、質の問題はもちろんありますが、「ユーザーにとってはそれほどウザくない」わけです。また、「広告主はターゲット顧客に宣伝できるので効率的で」す。ピンタレスト(Pinterest)は広告料が獲得できます。まさに「ウィン-ウィン-ウィンの広告モデル」となっているのが、業績が好調の理由なのかと推測されます。

 

「画像を使用しているSNS・検索エンジンという特徴」のため、ヴィジュアルが重要な「ファッション分野に強い」そうです。

 

ここまで解説してきましたが、その問題点にお気づきになった将来の起業家・ハイグロ投資家の方も多いことでしょう。自分の撮影した画像をアップロードするだけでなく、「他人のホームやピンタレスト(Pinterest)以外のウェブサイトからの画像を使用しているのは著作権侵害にならないのか」という点です。

 

これについては「当然侵害に当たるという日本語記事が多いのですが、世界中で数億人が利用し、上場もしているわけで、グレイ」なのではないでしょうか?

 

「日本では写真を撮影できない美術館が殆ど」です。海外では「メトロポリタンやルーブルなどでは自由に撮れる」のに何故撮れないのかという外圧のためか、東京国立博物館や東京近代美術館、改装された西洋美術館などでは近年ようやく撮影できるようになりましたが、例外というのが現状です。

 

ニューヨークのギャラリー巡りをM.B.A.時代によく行っていたのですが、[海外ではギャラリーの最新作品でさえ商用目的でなければ撮影できます]。ハートのシンボルマークで有名なジム・ダインの最新作を次々に撮影している人がいたので尋ねた所上記の回答があり、一緒になって撮影に興じたのが思い出されます。

 

つまり、「商用目的でなければ数十万ドルで販売されている画家の最新作でさえ撮影可能だというのが米国の常識」なわけです。「商用目的のビジネスアカウントではもちろんNGですが、個人が楽しむ目的ならば問題ないと許容されているのではと推察」されます。先週久しぶりに来日した米国人の友人に尋ねた所、私と同じ解釈でした。

 

私は法律の専門家ではないので保証はできないので、「自分の撮影した作品に限るのが無難」でしょう。しかし、それではこの「アプリの特徴は全く生かされなく」なります

 

「SNSとしての機能はなくなりますが、ボードを非公開にして自分だけで楽しむようにするという裏技」もあるようです。スカム画像への転送問題は解決できないですが。

 

実はこの「著作権への日米の認識の違いこそが、ピンタレスト(Pinterest)が日本では流行していない本当の理由」なのかもしれないですね著作権が怖いのでご自分では使用されなくとも、「ハイグロ株投資家の投資対象としては注目すべき企業の一つ」だと思われます。

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