米国ハイパーグロース株銘柄の紹介

クアンタム・スケープ(QuantumScape)はEVの問題点を一気に解消!

松田遼司の次世代のテンバガー候補紹介「クアンタム・スケープ(QuantumScape)」

ABSメルマガ執筆時 2023年8月10日株価7.53ドル

コラム掲載時 2023年8月20日株価6.82ドル

株価上昇率: -10%

「松田遼司の次世代のテンバガー候補紹介」。今回はクアンタム・スケープ(QuantumScape)について、将来の起業家・米国ハイパーグロース株投資家であるみなさんと共に見ていきましょう。まずは資金調達の経緯について解説していきます。

 

クアンタム・スケープ(QuantumScape)の資金調達の経緯

クアンタム・スケープ(QuantumScape)は、ESGの推進者であるビル・ゲイツ氏も出資している「次世代電気自動車用バッテリーの開発企業」です。電気自動車用バッテリーというと、以前ご紹介したテスラと共同開発を行っているパナソニックが思い浮かぶでしょう。こうした競合とは「固体リチウムメタル電池という次世代方式技術で差別化」しています。本社はカリフォルニア州サンノゼです。

 

2010年、2011年にシードラウンドを実施しています。

 

2014年にフォルクスワーゲンが出資し、軌道に乗りました。2016年の増資を経て、2018年に約140億円を出資、最大株主となりました。2020年にもさらに約280億円を追加出資しています。

 

そして2020年にSPAC上場企業と合併し、ニューヨーク証券取引所に上場しました。ティッカーシンボルはQSです。この際にカタール政府やフォルクスワーゲンなどから約1,400億円を入手しました。まだ「商品をローンチしておらず、収入もないのに第4四半期にはフォードの時価総額を一時上回る」など、「将来性が高く評価」されています。

 

当時は「テスラがテンバガーとなり、トヨタの時価総額を抜いて」いました2020年3月のFEDの緊急利下げによる「バブルの結果」です。起業家を目指す皆さんには、「いかに運が重要か」がご理解いただけると思われます。FEDが利下げをせずにバブルを潰していれば、状況は現在と全く異なっていたでしょう。「創業メンバーに強運の方を1名参加させるのも一手」かもしれません。

 

小型株指数「ラッセル1000構成銘柄」となっています。現在の株価や掲示板についてはYahoo!ファイナンスを御覧ください。最新ニュースについてはグーグルの検索結果を参照ください。

 

クアンタム・スケープ(QuantumScape)の概要と沿革

クアンタム・スケープ(QuantumScape)は、2010年にスタンフォード大学の教授などにより設立されました。メタやアルファベットと同様にスタンフォード大学発のベンチャー企業です。

 

2012には「フォルクスワーゲンと協業を開始」します。これで「資金面の心配はとりあえず消えた」ことになります。将来の起業家のみなさんも、日本では営業と混同されていますが、当該分野での提携企業を探す「ビジネス・デベロップメントの重要性」を理解していただければと思います。例えばグーグルも日本で社長を就任させる前にまずは、「ビジネス・デベロップメントの責任者」を探していました。「提携先のポータルを獲得しないと、当時はまだ無名だったGoogle検索を使う方が存在しない」ことになるからです。クアンタム・スケープ(QuantumScape)社の場合は、「フォルクスワーゲンの関心をひけた事が、赤字でも10年以上存続できた理由」と言っても過言ではないでしょう

 

2018にはフォルクスワーゲンと固体リチウム電池の大量生産の共同プロジェクトを発表しました。

 

2020年には上記のようにニューヨーク証券取引所に上場しました。

 

2022年には「650KMの容量を15分で充電できる」固体リチウムバッテリー電池の生産を発表しました。試験生産ラインが完成しています。2024年にはアウディやフォルクスワーゲンに搭載されるとしています。

 

しかし、まだ一度も製品をローンチしておらず、高すぎる株をショートしているファンドも存在」しています。

 

資金量は十分にあり、フォルクスワーゲンの後押しもあるので、とりあえずは「破綻の心配はない」ようです。しかし、「赤字どころか、商品をローンチしていない企業が上場している状況」は、2020年のFEDの緊急利下げにより「2000年のITバブル以上のバブルが現在起きている」のだと、起業を目指す閲覧者の方にも理解頂けるのではないでしょうか?

 

クアンタム・スケープ(QuantumScape)の商品

 

クアンタム・スケープ(QuantumScape)社の商品は、固体リチウムメタル電池」です。

 

従来の「液体リチウムイオンバッテリーは、多くの短所を」抱えています。日本でも報道されるようになっているので、ご存知の方も多いでしょう。

 

1.バッテリーの充電に時間がかかり過ぎる(フル充電には1時間など、ガソリンだと5分)ので、高速道路に充電器があっても常に一杯(充電中にランチやコーヒーを飲んでいる)で長時間待たねばならず、インフラが整っている米国以外では街乗りが主用途」となっている。

2.バッテリーの寿命が携帯電話同様に短く、「保証期間を過ぎると買替え」となる(バッテリーが主要部品のため、交換には数百万かかる)例えば首位のテスラの場合の保証期間は、最新モデルではクレームが多いために8年間となりましたが、過去のモデルでは4年間でした。

3.バッテリーが携帯電話同様に熱を帯びることがあり、特に衝突時には「発火の原因」となる

 

などがあります。

 

これに対してクアンタム・スケープ(QuantumScape)社の固体リチウム電池は、多くの長所があります。

 

1.1回15分の充電で約640キロ走れるので目的地まで充電する必要がない(東京から大阪は高速道路を利用すると約500キロなので問題なし)

2.電池の寿命が長く12年持つので、車の買い替え時期の方が早くなる

3.発火性がないので安全

 

しかし、「以上の長所を全て満たすのは簡単ではない」との専門家の解説記事も目にしました。

 

さらに、「こうしたブレークスルー製品を数百万個も大量生産するのは容易ではなく、少量生産では非常に高価」となってしまうでしょう。「スポンサーがフェラーリやランボールギニだとまだ理解できるが、大衆車のフォルクスワーゲンで実用化されるのにはどれぐらいの年月が必要なのか?」と考えてしまう筆者の気持ちは、メーカー勤務経験がある方には理解していただけるでしょう。

 

「固体リチウム電池にも競合が存在する」ようです。米国や台湾のスタートアップ以外では日産も開発中とのことです。しかし同社は「その技術は独自のもので他社と差別化している」と主張しています。

 

自動運転技術の「Lidar」についていくつかの会社を紹介してきましたが、「Lidar同様に将来の技術であり、どこが勝つのかの予測は不可能」でしょう。こうした新技術では「ゲーム・チェンジャー」により、「現在の敗者が勝者に、勝者が敗者にもなりうる」からです。

 

このように長所だらけで、株式市場でも高く評価されているクアンタム・スケープ(QuantumScape)社ですが、筆者には、まだ評価のしようがありません。「製品も出ていない企業がなぜ上場できているのかさえ疑問」だからです。

 

クアンタム・スケープ(QuantumScape)社の株価はMotley Foolによると2023年7月に67%も上昇、EVセクターの躍進に貢献したそうです。商品化に大きな進展があったと発表したからのようです。しかし競合のXPeng社がフォルクスワーゲンと提携したのは、商品化が遅れていることへの懸念と思われます。「良い要因と悪い要因があるのに瀑上げするのは、バブル」ということではないでしょうか?

同ニュースによれば商品化はいつのまにか2024年から2026年に延びています。それでも競合他社に1~2年は先んじているというのですが、「今後どうなるのかは神のみぞ知る」でしょう。

資金も2025年後半まではもつと言っていたのが、8月には株式を売却し資金調達を開始したそうです。

 

同社は「SPAC合併上場企業であり、そもそもが割高」です。ビル・ゲイツが投資している、フォルクスワーゲン後ろ盾があるなどの、「しっかりとした調査もしていない見せかけの好情報に惑わされないことが重要」です。

 

技術的にはゲーム・チェンジャーとなりうる」製品であり、「実現化すればLidar銘柄同様に、次のテンバガー候補」といえるでしょう。しかし、「創薬分野では該当物質を見つけても薬となるのかは分からず、数十年後に実用化されて初めてノーベル賞を受賞できる」のです。これと似たようなものだと考えるのがよいのではないでしょうか?

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